CROの種類・タイプ(受託型CROと派遣型CRO)
ここでは、CROの種類・タイプについて説明していきます。
昨今の製薬業界を取り巻く変化の中で需要が急拡大し、安定成長を続けているCROですが、実はCROのビジネス形態には大きく分けて「受託型CRO」と「派遣型CRO」という2つのタイプが存在しています。
現在の日本ではCROのほとんどは「受託型」であり、「派遣型」のCROは数少ないのですが、一部のCROでは、「受託」事業と「派遣」事業を両軸で展開している企業もあります。
この受託型CROと派遣型CROでは、働き方やメリット・デメリットが異なってくるため、 ここでは、それぞれのタイプについて詳しく説明していきます。
受託型CROについて
受託型CROとは?
受託型CROとは、CROが製薬会社から新薬の開発業務を受託し、CROが中心となり業務を進めていく形態のことを指します。
受託型CROの場合には複数の製薬会社から異なる内容の臨床試験を依頼されるため、製薬会社内の開発部門で働く場合と比較して、幅広い臨床試験に携わることができます。
しかしながら、受託型CROの場合は、受託依頼をしている製薬会社と、臨床試験を実施する医療機関との橋渡し役のような形になるため、両者に挟まれてしまい、情報のやり取りが増えて煩雑化してしまうケースや、臨床試験の進捗管理がしづらくなるケースがあります。
受託型CROのメリット・デメリット
受託型CROで働くメリット・デメリットとしては、下記が挙げられます。
受託型CROのメリット
- 複数の製薬会社の幅広い開発業務に携わることができる
- CRAを経てプロジェクトリーダーになれば、高収入が期待できる
受託型CROのデメリット
- 製薬会社と医療機関の間に挟まれることも多い
- 製薬会社の人間として開発に携わることはできない
派遣型CROについて
派遣型CROとは?
派遣型CROとは、CROの社員が製薬会社に派遣され、製薬会社内の開発部門のメンバーと協力しながら開発業務を進めていく形態のことを指します。
派遣期間中はプロジェクトが終了するまで一つの製薬会社で働くことになるため、製薬会社と医療機関の間に挟まれがちな受諾型CROと比較すると業務が進めやすいケースがあります。
また、プロジェクトが終了すると、派遣される製薬会社も変わるため、様々な製薬会社の様々な開発業務に携われるという点も魅力的です。
現在では受託型CROがメインとなっていますが、製薬会社の中には自社内にCROスタッフを抱えて無駄なコミュニケーションコストを抑えながら開発が進められるという点で、受託型よりも派遣型のCROを好んで利用している会社も存在しており、今後も徐々に派遣型CROが増えていくことが予想されます。
ただし、派遣されるCROの社員の立場としては、派遣先となる製薬会社によって社風や開発業務の進め方、マニュアルなども異なるため、派遣先が変わるたびに新しい製薬会社のやり方に慣れていかなければならず、以前の派遣先のやり方との違いに戸惑ってしまうケースも少なくないようです。
派遣型CROのメリット・デメリット
派遣型CROで働くメリット・デメリットとしては、下記が挙げられます。
派遣型CROのメリット
- 製薬会社の人間として開発業務に携わることができる
- 複数の製薬会社で勤務経験を積むことができ、スキルや知識が深まる
派遣型CROのデメリット
- 派遣期間は長くても3年程度で、一つの製薬会社への長期勤務は困難
- 製薬会社によって社風や業務スタイルが異なるため、その都度順応が必要
まとめ
上記のように、同じCROでも受託型CROと派遣型CROとでは開発業務に携わる際の立ち位置が異なってくるため、仕事内容や業務の進め方にも違いが生じてきます。
どちらのタイプのCROがよいかということは一概には言えませんが、CROへの就職・転職を考える際には、応募先のCROが受託型と派遣型のどちらのスタイルで事業展開をしており、実際の社員の働き方はどのような形になっているのかをしっかりと確認しておくことをおすすめします。