保健所で働く薬剤師の仕事内容
ここでは、保健所で働く薬剤師の仕事内容について詳しくご紹介していきます。
保健所の役割は、管轄する地域の各種保健衛生情報の収集・管理・分析や保健衛生に関わる事業者に対する監視、許認可、地域住民に対する啓蒙活動など、地域の公衆衛生を維持し、地域住民の健康な暮らしを守っていくことです。
そのため、当然ながら保健所には薬学や衛生学などメディカル領域における専門知識を持つ薬剤師の存在が必要になります。保健所に勤務する薬剤師の仕事内容としては、下記のような業務が挙げられます。
薬事衛生
薬事衛生においては、医薬品、医療機器などの品質、有効性や安全性を確保するために、製造施設や薬局などの許可・監視・指導を行います。また、麻薬や覚せい剤などの不適正使用防止や薬物乱用防止の啓発、輸血用血液の確保のための献血推進などの業務を実施します。
食品衛生
食品の生産から流通、消費にいたるまで、管轄地域を取り巻く食環境の安全を確保するために、食品会社や飲食店などに対して衛生管理面の指導や食中毒予防のための啓発などを行います。
生活衛生
管轄地域内にある宿泊施設やクリーニング店、理容室・美容院、公衆浴場などの衛生水準の向上を図るために、衛生管理指導や許可・届出・監視業務などを行います。
試験検査
食品に含まれる添加物などの規格基準検査や食中毒菌の検査を行います。
水道衛生
管轄地域内にて安全な水道水を供給するために、水道事業者に対する監視業務や旅館などの特定建築物やプールなどの衛生管理・指導を行います。
廃棄物衛生
管轄地域内の廃棄物の減量や再生利用、適正処理を推進するために、廃棄物の排出事業者や処理業者に対して啓発、指導、許認可を行うとともに、不法投棄対策業務なども行います。
生活環境保全
地域住民の方々の良好な生活環境を保全するために、大気や水質、土壌などの監視や届出施設への立ち入り検査指導、騒音・振動・悪臭対策として各種施設の指導・監視を行います。
上記のように、保健所で働く薬剤師の業務内容は非常に多岐に渡っており、保健所のどの部課に所属するかによっても業務内容は変わってきます。
また、保健所は薬剤師の方が地方公務員として採用された場合の勤務先ですが、配属によっては保健所ではなくより分析業務が主となる研究所などへ配属されることもあります。
保健所で働くメリット・デメリット
薬剤師の方が保健所で働くメリット・デメリットとしては、下記が挙げられます。
メリット
- 地方公務員として採用されるため、雇用は安定する
- 地方公務員なので残業もほとんどなく、働きやすい
- 地域の公衆衛生に携わる幅広い業務に携わることができる
- 地域住民の暮らしを守る社会貢献性の高い仕事なのでやりがいがある
デメリット
- 民間企業勤務の薬剤師と比較すると給与が安い傾向にある
- 配属される部署によっては薬剤師としての知識を活かしきれないこともある
- 民間企業に勤務することで磨かれるようなビジネススキルなどは身につかない
薬剤師資格を活かしつつ、地方公務員という安定した職を手に入れたい方にとってはとてもおすすめができる環境です。地方公務員なので残業も少なく休みもしっかりと取ることができます。
また、定期的な部署異動により幅広い業務を担当することができ、地域の公衆衛生を保全するというとても社会的使命が大きくやりがいのある仕事でもあります。
民間企業に勤務している薬剤師資格保有者と比較すると給与は安くなってしまいますが、上記のような仕事内容に興味がもてる方は、保健所で薬剤師として働くという選択肢も魅力的です。
