正社員として働く
薬剤師資格を持って働いている方の多くは、調剤薬局やドラッグストア、製薬会社などの正社員として働いています。特に薬局やドラッグストアでは薬剤師は売り手市場の状況が続いているため、正社員求人も多く、よほど経歴に問題がある方などでない限り、比較的簡単に正社員として入社することができます。
経済全体の不透明感が続く中、一般的には正社員での就職・転職は厳しさを増しているのですが、薬剤師の場合には他の業界や職種と比較すると未だに正社員採用の門戸が大きく開いている点は魅力的です。
しかしながら、正社員で働くことには、当然ながらメリットもあればデメリットも存在しています。ここでは、薬剤師の方が正社員として働いていくうえでのメリット・デメリットについてご紹介します。正社員として働きたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
正社員とは？
正社員とは、入社する企業と直接雇用契約を結び、働くスタイルとなります。正社員の場合には、契約期間を定めた雇用ではないので、基本的に入社後は定年までその企業で働くことを前提として入社する形になります。
しかし実際には、薬剤師の方が1社の企業で定年まで勤めるというケースはあまり多くありません。正社員として複数社の勤務経験をしている薬剤師の方も多くいらっしゃいます。
正社員で働くメリット
正社員で働く代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。（※下記の項目はあくまで一般的な話であり、正社員雇用をしている全ての企業にあてはまるわけではありません。応募企業の詳細については、しっかりと事前に確認しておくことをおすすめします。）
- 雇用が安定している
- 福利厚生が充実している（社会保険・育休・産休など）
- 研修制度が充実している
- 賞与が出る
- 退職金が出る
- 実力次第で昇進・昇給もできる
- 責任ある仕事を任される
- 転職しやすい
それぞれ詳しく解説していきます。
雇用が安定している
正社員の場合は、派遣社員や契約社員、パート・アルバイトなどと違って雇用面が安定している点がとても魅力的です。正社員は原則として無期限の雇用形態であり、一度採用されると、企業側はそう簡単に解雇をすることなどもできません。そのため、将来的な収入も見越したうえで長期的な人生設計を考えている方には安心ができます。
福利厚生が充実している（社会保険・育休・産休など）
これは就職・転職する企業によっても異なりますが、社会保険や育児休暇・産休などの福利厚生制度が充実している点も正社員ならではの魅力です。出産後も仕事を続けていきたい方などは育休や産休をとって復帰ができる正社員という働き方はおすすめできます。
研修制度が充実している
正社員は、勉強会や研修制度を設けている企業も多いため、会社が与えてくれるそのような機会を活かしてスキルアップをしていくことができる点も魅力的です。
賞与が出る
正社員の場合は通常の給与に加えて賞与が出るという点も魅力です。賞与額は企業によっても異なりますし、算出方法も様々なのですが、月給はパート・アルバイトや派遣社員と大差がないとしても、賞与が出ると年収面では大きく差がついてきますので、収入面を重視される方は正社員として働くのがおすすめです。
退職金が出る
賞与だけでなく、退職金が出るという点も正社員ならではの特典と言えます。経営環境が悪化している企業ではあまり多額の退職金は期待できないかもしれませんが、それでもある程度の勤続年数があれば、退職時にはかなりのまとまった金額を手にすることができため、老後の生活なども考慮して少しでも余裕を持っておきたいという方にはおすすめです。
実力次第で昇進・昇給もできる
正社員の場合は、入社後のキャリアパスが用意されているという点が魅力的です。最初はメンバークラスからスタートしても実力次第では管理職に就くこともできますし、当然ながら役職が上がれば給与は上がっていきます。
責任ある仕事を任される
正社員になると、パーと・アルバイト、派遣社員には任せられない責任ある仕事を任される機会が多くなります。パート・アルバイトや派遣社員はどちらかというと切り出し可能なオペレーション業務が中心となりますが、正社員となるとそれらのオペレーション業務に加えてクリエイティブな業務も期待されることになりますので、責任はありますが、その分だけやりがいのある仕事をできます。
転職しやすい
正社員として働いていると、転職市場に出たときに次の職場が見つかりやすい、という点もメリットとして挙げられます。薬剤師の場合は他の業界や職種と比べて一般的に転職回数が多い傾向にあります。
これは、薬剤師は調剤薬局やドラッグストアから引く手あまたとなっている状況が現状は続いており、売り手市場のため簡単に転職できてしまうということも背景にあります。
将来的に転職も視野に入れて働きたい方は、転職市場に出たときに選択肢が広がる正社員として働くことをおすすめします。
正社員で働くデメリット
正社員で働く代表的なデメリットとしては、下記が挙げられます。（※下記の項目はあくまで一般的な話であり、正社員雇用をしている全ての企業にあてはまるわけではありません。応募企業の詳細については、しっかりと事前に確認しておくことをおすすめします。）
- 転勤がある可能性がある
- 残業や休日出勤などがある可能性がある
- 業務責任や業務範囲の増加に比例して給与が上がらないこともある
それぞれ詳しく解説していきます。
転勤がある可能性がある
正社員として働く以上は、転勤リスクについてはある程度覚悟しなければいけません。
全国にチェーン展開している薬局やドラッグストアなどでは、転勤の可能性は十分にあります。既に家族や子供がいる方などは、転勤リスクについて十分に家族に理解をしてもらう必要があるでしょう。
転勤が嫌で、転勤がない地元の薬局で働きたいと転職相談に訪れる薬剤師の方はとても多くいらっしゃいます。
しかし、地元の薬局となると、大手チェーンではなく個人が経営しているオーナー薬局なども多くなるため、勤務条件や職場環境が整備されておらず、入社前に聞いていた話と労働環境が全く違っていた、といったような話を聞くこともあります。
転勤は嫌だという方は、そもそも転勤がない企業に応募するか、全国展開している企業の場合は、転勤リスクはどの程度あるのかを事前にしっかり確認しておくとよいでしょう。
残業や休日出勤などがある可能性がある
これは企業により異なりますが、正社員として雇用される以上は、多少の残業や休日出勤などは我慢しなければいけないケースもあります。
企業経営者の視点から考えてみれば、パートやアルバイト、派遣社員とは違い、正社員の場合は多少の無理は利く、というのがメリットでもあり、そのために高い給与や充実した福利厚生、研修制度などを至れり尽くせりで用意しているわけです。
残業や休日出勤などは、ほとんどの薬剤師の方は敬遠するため、企業側もあまり積極的に実情を伝えようとはしません。
そのため、求人情報上でも、残業時間や休日出勤などについては「人により異なります」「20～40時間/月」「裁量次第で早く帰れます」「シフトによっては休日に出勤することもあります」など、曖昧な表現にとどめているケースをよく見かけます。
しかし、薬剤師不足が続いている企業現場では、実際には長時間残業や休日出勤が定常化してしまっているケースもかなりありますので、ここが気になる方は事前に薬剤師専門の転職エージェントに、しっかりと企業の職場環境の実情についてヒアリングしておくことをおすすめします。
労働時間や労働環境については、求人情報を鵜吞みにせず、現場のリアルな情報を掴むのが一番大事です。
業務責任や業務範囲の増加に比例して給与が上がらないこともある
正社員の場合、勤続年数が長くなればなるほど、必然的に担当する業務範囲や業務責任は大きくなっていきます。中には役職がついてマネジメントポジションに就く方もいらっしゃいます。
しかし、その業務範囲や業務責任の増加に比例するようには給与が上がっていかない、という話を耳にすることもあります。
特に、調剤薬局やドラッグストアなどの場合、新卒時の給与でも400万～500万等、世間一般から考えるとかなりの高給を出すケースも存在しています。
そのため、20代のうちはとても高給取りになるわけですが、その後の昇給スピードがとても遅く、それに対して業務範囲や業務責任が増えていくことで、徐々に割に合わないと感じるようになる方も増えてきます。
これだけの仕事をしてもこの給与しかもらえないのであれば、多少給与が下がってもいいから時給が高いパート・アルバイトで勤務したほうがいいと考えて転職をする方などもいらっしゃいます。
収入面よりも仕事自体にやりがいを感じて取り組める方であれば問題はありませんが、そうでない方は、20代のうちは正社員として働き、その後はパート・アルバイトや派遣社員など、業務の責任ややりがいなどは少ないとしてもそれなりの給与はもらえることができる他の雇用形態を検討する、というのも一つの手かもしれません。
下記のような方は正社員として働くのがおすすめです
下記に当てはまる方は、正社員として働くのがおすすめです。
- 将来にわたり安定した人生設計を望む方
- 賞与や退職金など、収入面の充実を重視する方
- 福利厚生の充実を望む方
- 教育制度が充実している環境で積極的にスキルアップをしていきたい方
- 結婚跡や出産後もバリバリ仕事を続けていきたい方
- 将来的に転職も考えている方
正社員として働くということは、企業のコア人材として採用されるということですから、期待も大きい分、大変さや辛さがつきまとうことはあるでしょう。しかし、それだけやりがいもありますし、収入面や福利厚生面なども充実してくれるので、とても魅力的な働き方の一つだと言えます。
薬剤師の正社員求人は多数ありますが、その中でも好条件の求人は非公開求人となっている場合がとても多いので、正社員として就職・転職をお考えの方はぜひ薬剤師専門の転職エージェントに相談してみてください。
