紹介予定派遣で働く
薬剤師の就職・転職の仕方の一つとして、紹介予定派遣という選択肢があります。紹介予定派遣というスタイルは企業にも個人にも多くのメリットがありますので、最近は求人数も増えてきています。
ここでは、紹介予定派遣として働く際のメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。紹介予定派遣の仕組みがよく分からないという方や、紹介予定派遣での就職・転職をお考えの方はぜひ参考にしてみてくださいね。
紹介予定派遣とは?
紹介予定派遣とは、入社してから一定期間は派遣社員として働き、その後、企業と個人が両者合意すれば、正社員やパートなどとして採用される仕組みのことを指します。
派遣期間中は派遣会社と雇用契約を結び、派遣期間が終了すると、今後は就業先企業と直接雇用契約を結ぶ形となります。
紹介予定派遣は、できる限り採用リスクを抑えたい企業にとっても都合が良いサービスです。一定期間就業をしてもらったうえで個人の適性や能力を見極めることができ、今後も自社で働いてほしいと思えば直接雇用契約を結べばよいですし、適性がないと判断すれば、派遣期間が終了した段階で契約を解除することができるからです。
いわば、企業と個人の両方に一定の見極め期間が存在するのが、紹介予定派遣というスタイルの特徴となります。
紹介予定派遣で働くメリット
紹介予定派遣で働く代表的なメリットとしては、下記が挙げられます。(※下記の項目はあくまで一般的な話であり、全ての企業にあてはまるわけではありません。応募企業の詳細については、しっかりと事前に確認しておくことをおすすめします。)
- 就業先の職場が自分に合うかどうかを見極めることができる
- 派遣期間が終了した後は、正社員として働ける
それぞれ詳しく解説していきます。
就業先の職場が自分に合うかどうかを見極めることができる
紹介予定派遣の何よりのメリットは、就業先の職場が自分に合うかどうかを、正社員として入社する前にしっかりと見極めることができるという点にあります。
業務内容や仕事の忙しさ、職場の人間関係など、様々な面で自分が長く働いていけるかどうか、実際に派遣社員として職場で働きながら見極めることができるため、就職・転職後のミスマッチが非常に起こりにくくなります。
自分に合わないと感じたら、派遣期間が終了したタイミングで正社員雇用をお断りすればよいだけなので、退職交渉などをする必要も全くありません。
特に、業務内容や仕事の忙しさなどは転職エージェントなどからある程度事前にヒアリングすることもできますが、職場の人間関係だけは、人と人との相性の問題が絡んでくるため、実際に働いてみるまでは自分に合うかどうかが分かりません。
そして、薬剤師の方々の転職理由としてかなり多いのが、この「職場での人間関係」を理由とした転職です。
調剤薬局やドラッグストアなどに就職・転職する場合には、同じ職場で働く人数が多くないため、その方々と合うか合わないかで、人間関係におけるストレスは大きく変わってきてしまうのです。
その点、紹介予定派遣という仕組みを活用すれば、実際に職場で働いてみて、同僚や上司などとの相性もリアルに分かるため、人間関係を理由とした転職をせざるを得なくなる可能性はかなり低くなります。
派遣期間が終了した後は、正社員として働ける
「紹介予定派遣」と聞くと「派遣」のイメージが強くなってしまいますが、派遣期間が終了したのち、あなたが継続して正社員として働いていきたいという意思を示し、企業側もそれに同意してくれれば、晴れて正社員として働くことができるようになります。
正社員になれば、派遣社員では得られない様々なメリットを得ることができます。正社員で働くメリット・デメリットについては、下記のページを参考にしてください。
ただし、派遣期間の終了後に直接雇用のオファーを受けたとしても、それが必ずしも「正社員」ではない可能性もあります。場合によっては「契約社員」や「パート」などの雇用形態を提示されることもある点だけは注意しておく必要があります。
紹介予定派遣で働くデメリット
紹介予定派遣で働く代表的なデメリットとしては、下記が挙げられます。(※下記の項目はあくまで一般的な話であり、全ての企業にあてはまるわけではありません。応募企業の詳細については、しっかりと事前に確認しておくことをおすすめします。)
- 派遣期間終了後の直接雇用契約はあくまで「予定」であり、「確定」ではない
- 直接雇用を見送られた場合には、その職場での継続就業はできなくなる
- 実際には紹介予定派遣という見せかけのメリットを提示しているだけのことも
- 派遣期間と、直接雇用契約後では、企業の見え方が全く異なることも
それぞれ詳しく解説していきます。
派遣期間終了後の直接雇用契約はあくまで「予定」であり、「確定」ではない
紹介予定派遣は、建前上は派遣期間終了後に正社員などの直接雇用へシフトすることを前提とした採用手法ですが、これは言葉通りあくまで「予定」であって、必ず正社員などになれるわけではない点に注意しておく必要があります。
派遣期間の終了後は、あなたも直接雇用のオファーを断る権利があるように、企業にも直接雇用を断る権利があるのです。
派遣期間中に、どうしてもこの企業で正社員として働きたいと感じた場合には、出来る限り正社員として働いている気持ちで積極的に仕事に取組み、就業先での評価が高まるように努力するようにしましょう。
直接雇用を見送られた場合には、その職場での継続就業はできなくなる
派遣期間の終了後、直接雇用については見送られた場合、もしその職場で継続的に就業を続けたいと思ったとしても、基本的に継続就業はできなくなり、次の職場に移らざるを得なくなります。
実際には紹介予定派遣という見せかけのメリットを提示しているだけのことも
これはあまりあるケースではありませんが、企業の中には、実際には派遣人材を採用したいだけなのに、求職者への応募喚起力を高めるためにあえて「紹介予定派遣」として求人活動を行い、本音としては全く正社員などの直接雇用契約をする気がないか、よほど素晴らしい人材でない限りは正社員にするつもりがない企業も存在しています。
紹介予定派遣は、正社員を目指したいものの、過去のキャリアを考慮するといきなり正社員として就職・転職するのは難しいという方にとっては、希望するキャリアパスを実現する上でのとても魅力的なステップだと言えます。
そのため、ケースによっては「派遣社員」としての募集よりも「紹介予定派遣」としての募集を出したほうが、優れた人材が集まることもあります。そのことを見越したうえで、この紹介予定派遣という仕組みをある種「悪用」する形で人材募集を行っている企業もゼロではありません。
紹介予定派遣として求人に応募する場合には、念のため転職エージェントに事前に過去の紹介予定派遣の方々が直接雇用された事例の有無や、直接雇用に至った割合などを確認しておくのもよいでしょう。
派遣期間と、直接雇用契約後では、企業の見え方が全く異なることも
紹介予定派遣の場合は、派遣期間中に職場の環境や仕事内容をしっかりと見極められるとはいえ、やはり派遣社員として働いている場合と正社員などの直接雇用で働いている場合とでは、企業側の接し方や職場での扱われ方が大きく異なります。
派遣社員として働いていたときはとても働きやすかったのに、いざ正社員になってみると予想以上に仕事が厳しかった、残業が多かった、などのギャップを感じる方も少なくありません。
企業としては、紹介予定派遣で派遣されてきた社員を、ぜひ正社員に採用したいと思えば、本人にも入社したいと思ってもらえるように派遣期間中は様々な面で配慮をし、本人からの印象が良くなるように努力するのは当然のことです。
しかし、一度正社員として採用すればお互いに立場は全く変わりますので、お客様扱いではなく、他の社員と同様に厳しい仕事を担当させられる可能性はいくらでもあるわけです。
紹介予定派遣として実際に企業で働いてみて、その企業で継続して正社員として働いていきたいと感じた場合には、改めて一度冷静になって、同じ職場で働いている正社員や上司などがどのような仕事をしているのか、周りを見渡してみましょう。
場合によっては、正社員として働いている職場の同僚に、その企業の実情について色々と聞いてみるのもありでしょう。きっと派遣社員として働いているだけでは分からない、その企業の様々な顔や実態が見えてくるはずです。
紹介予定派遣で入社したとしても、必ずしもミスマッチが起こらないとは限らないので、その点を十分に注意しておきましょう。
下記のような方は紹介予定派遣で働くのがおすすめです
上記のようなメリット・デメリットを総合的に考えると、下記に当てはまる方は、派遣社員として働くのがおすすめできると言えます。
- 転職回数が多いなどの理由で、これ以上の転職はどうしても避けたいという方
- 直接雇用される前に、職場環境や仕事内容についてしっかり見極めておきたい方
- 将来的には正社員として働きたいと考えている方
働く側にも採用する側にも多くのメリットがある紹介予定派遣ですが、紹介予定派遣には紹介予定派遣のデメリットも存在しているので、上記の内容をしっかりと理解したうえで、今後の働き方としてまずは紹介予定派遣から始めるのが自分に合っていると思われる方は、 ぜひ薬剤師専門の転職エージェントに相談してみてください。